令和6年度 中学生の「税についての作文」

小石川納税貯蓄組合連合会 ・ 小石川税務署

東京国税局管内納税貯蓄組合連合会 優秀賞

アメリカを通してみた税


お茶の水女子大学附属中学校1年
高野 りの

 私は今年の夏休みに、ロサンゼルス旅行に行った。友達へのお土産を買う為、ショッピングモールへ行き商品を選んだ。その商品には6個買うと計10ドルと書かれており、表記通りの個数を手にレジに行き会計をした。私にはアメリカの消費税の知識が無かった為、何ドルになるのか不安になりながら会計を待った。「10.95ドル」と言われ、想像より安い税に驚いた。買い物を済ませレシートを見ると「CALIFORNIA TAX」と記されていたので、興味がわいて調べたところ、アメリカは州や都市などによって税率が違うことがわかった。加えて、一番税率が高い州を調べてみると、アメリカ南部のルイジアナ州(10%)一番低いのはオレゴン州.モンタナ州.デラウェア州(0%)で、カリフォルニア州のロサンゼルスは9.5%だった。日本は都道府県や市町村に関わらず、消費税は一律なので日本とアメリカとの違いに驚いた。

 その後、あまり治安がよくないエリアをタクシーで通りかかった時に、様々な年齢層の路上生活者を見かけた。その人達は、比較的消費税率が高いカリフォルニア州で生活しており、それらの消費税を原資に、他の州よりも手厚い生活保護をもらえているはずなのに、なぜこんなにも多くの人達が、路上で生活しているのだろうという疑問が頭の中に浮かんだ。

 早速調べてみると、考えていた通り、アメリカにも生活保護の仕組みは存在していて(Supplemental Security Income。略してSSI)、受給条件は州ごとに違うものの、例としては、65歳以上であること、完全にまたは部分的に失明していること、あるいは最低一年間、または最終的に死亡するまで労働することのできない医療上の立場におかれていることを始めとする7つの条件等に照らして個別に審査するようだ。更に、SSIの受給者は低所得者向け医療保険の資格も得られるようだが、前述の通り認定基準は厳しく、前述のエリアで見かけた人々はとてもこの条件にあてはまる人はいなかったように感じた。一方、日本の生活保護の基準は、アメリカと比べ格段に緩く、何より年齢制限がないことなどが、若い路上生活者が少ないことの一因なのではないかとも思った。日本の生活保護制度は贅沢であると聞くことがあるが、その意味を理解したと同時に、目の前にあるこの現実はとても他人事では済まされないとも感じた。

 今回の旅行で、税金の使い方にも、国や地域によって様々な方法があることを学んだ。異国の地で自分が感じたことをきっかけに、税の様々な使われ方を知ることで、今自分が受けている税による恩恵を知ると同時に、未来の税についても考えてみたい。