令和6年度 中学生の「税についての作文」
小石川納税貯蓄組合連合会 ・ 小石川税務署
東京納税貯蓄組合総連合会会長賞
税の大切さ
貞静学園中学校3年
長﨑 大嘉
毎年、日本漢字能力検定協会が、一年の世相を表す漢字一字を全国から募集し、最も応募数の多かった漢字を発表している。昨年、「今年の漢字」に選ばれたのは「税」だった。税は国民の生活に直結しており、昨年は特に一年を通して税の話題が続いたためだ。
「税」という漢字の成り立ちを調べてみると、実って収穫した稲を二つに分けられ、国に徴収されるという意味があるそうだ。確かに「税」と聞くと、納税、課税、増税といった言葉とともに、「取られてしまうもの」というマイナスのイメージが浮かぶ。
税の中でも、ぼくたち中学生にとって一番身近なのは消費税である。買い物をするときに「税込」の表示を見ると、消費税がなければもう少し安く買えたのにと、つい思ってしまう。
けれども、ぼくの中で税への考え方が変わった出来事があった。小学六年生のときに、母が心臓の手術で入院したことがきっかけだ。
ぼくは、手術が無事に成功するだろうか、笑顔で退院できるだろうかと、色々な不安が頭をよぎっていた。一方、母自身は身体の心配と同じくらい費用の問題が気がかりだったそうだ。そこで病院に相談したところ、高額療養費制度を利用できることが分かり、安心して手術に臨むことができたと話してくれた。
高額療養費制度とは、医療費の自己負担額が高額になった場合に、限度額を超えた分が払い戻しになる制度である。母のように、手術等で医療費が高額になると事前に分かっている際は、「限度額適用認定証」の交付を受けることで、限度額を超えて費用を負担せずに済ませられる。
母は、一回の手術では処置できなかったため、翌年も手術をすることになったが、そのときもこの制度を利用したことで、費用の心配をすることなく手術を受けることができた。
もし医療費を全額自己負担しなければならなかったら、手術の延期も考えたそうだ。
この高額療養費制度で使われるお金、これも税金である。ぼくたちの健康や生活を守るための社会保障関係費として使われている。
また、ぼくの住んでいる自治体では、子どもの意見表明や社会参加の場の確保を目的として「子ども会議」が開催されている。ぼくも昨年度、実際に議場に行って傍聴したが、限られた予算を何にどのくらい使っていくべきか真剣に議論されていた。税金は「社会の会費」とも呼ばれているが、大切なお金の使い道が議論に議論を重ねた上で決められていることを知り、区民として誇らしく感じた。
日常生活を何事もなく送っているときは税金の大切さに気付きにくいものだ。しかし、何かあったときにこそ、税金はやはり必要なもので、きちんと納めなければならないと実感する。ぼくたちは、税にもっと関心を持ち、正しく理解していくことが大切だと思う。