令和6年度 中学生の「税についての作文」

小石川納税貯蓄組合連合会 ・ 小石川税務署

文京区長賞

支えて広げる笑顔の輪


お茶の水女子大学附属中学校3年
安藤 幸太朗

 曾祖母に会いに行くとき、都合の良い日を尋ねると

「その日はデイだから。」

とよく言われる。曾祖母が言うには、今の一番の楽しみらしい。デイ、デイサービスである。言葉はよく耳にするが、実態は正直、わからなかった。だけど、街を歩けばデイサービスの看板はよく見かける。

 曾祖母が行くデイサービスでは、まず車が家まで迎えに来てくれて、午前中にお風呂に入り、昼食がでて、昼寝の時間も設けているらしい。午後は、歌を歌ったり、ゲームをしたりするレクレーションがあり、おやつを食べ、車で家まで送ってくれる。わたしはつい、「豪華だね。」 と言ってしまった。曾祖母は週に3回通っていて、いろんな人との交流が楽しいと言う。生活にもメリハリが出来たと、ほほえんだ。

わたしは、「高くないの?」と聞いてしまった。曾祖母は高齢で、働いてもいないし、収入は年金だけのはずである。「介護保険があるから」という答えが返ってきた。介護保険、名前は聞いたことはあるが、自分の中では曖昧な制度である。

 この機会に調べてみると、今回のデイサービスやヘルパーさんが家に来てくれる訪問介護や高齢者施設に入所するときに、65歳以上の被保険者は、一割から三割の負担額で利用できるという。また、介護の器具のレンタルにも使えるという保険制度である。昔からあるのかなと思ったら、2000年から始まったというのも意外だった。高齢化社会を見通して介護保険制度が始まったようだ。

 次にその財源は誰がどうやって支払っているんだろうかという疑問が生まれた。調べたところ税金からだった。介護保険制度にかかる費用のうち、半分は国や県、市の公費(税金)で、もう半分は40歳以上の人から月々、支払いが生じる。その世代から払う税金が、高齢者や未来のわたしたち世代の老後を支えていく。自分の将来が安心できる為にも、高齢者世代にとっても、とても良い仕組みだと思う。

 曾祖母がわたしにデイサービスで作った手作りの作品や達筆な習字を、みせてくれた。にこやかに、そしてどこか誇らしげに見せてくれる曾祖母の顔が、まぶしい。生き生きとした老後ってなかなか難しいものではないか。そんな制度が確立した日本の税制度は素晴らしいと思う。少子高齢化が問題になっているが、高齢者の生き生きとした顔や、笑顔が見られるのは嬉しいことだし長生きしてほしい。人生百年時代と言われる今だからこそ必要な税制度だと思った。

参考文献  介護保険制度について
厚生労働省ホームページ